金平糖の降るところ
「金平糖の降るところ」というのは江國香織さんの小説のタイトルです。
ブラジルで日本語を教えるに当たり、南米が舞台の小説が読みたいなと思い図書館に出向き、
橋田壽賀子先生の「はるとなつ(上下)」にするか、江國香織さんのこれにするか、うんうん悩んだ末、量の少なさと装丁の美しさが決め手になり選んだのでした。
内容は、とりあえず置いておいて…
妙にひっかかる部分がありました。
それが、日系三世である主人公の姪が、日本人観光客に道を尋ねられるシーン。
「日本語話せますか?」という質問に「日本語を話せない」といえないというところ。
たぶん、多くの人にとってはなんでもないシーンだと思うんです。
実際小説でもそのくだりはさらりと終わっていたはず。
でも、これから日系人に日本語を教えることになる私には大きな衝撃でした。
この小説を読んで一年、この国へ来て四カ月。
まだまだ彼女の心境を理解するには至らないけれど、少しずつ分かってきた彼らの複雑な気持ち。
そんなはじまりの気持ちを留めておくためにこんなタイトルにしてみました。
金平糖の語源はポルトガル語のconfeito(コンフェイト・砂糖菓子)。
ここで見られる星は、地球の裏側で誰かが埋めた金平糖。